カームダウンが必要な自閉症や発達障害の人に、「ここのエリアで、こうやってね」と言っても伝わりません。
自分がカームダウンする場合だと、どのように対応すれば良いか分かっているケースがほとんどだと思います。
難しいのは子供や他人のように他者にカームダウンのやり方を伝えたり、カームダウンの必要性を伝える時です。
とくにカームダウンという言葉すら聞いたことがない人にとっては、どうするのが正解か分からないはずです。
そこでこの記事では、以下の内容を紹介していきます。
・カームダウンエリアの使い方で注意すること
・基本的なカームダウンのやり方を紹介
・旅行や帰省時のカームダウンのやり方
・電車や飛行機など移動中のカームダウンのやり方は?
このように、カームダウンエリアの使い方・カームダウンのやり方を具体的に解説していきます。
東京オリンピックをきっかけに空港や他の公共施設でもカームダウンルームができて、徐々に認知が広まってきています。
この機会にカームダウンについて正しい知識を知っておけば、本当の意味で他人に優しい人になれると思います。
具体的なカームダウンのやり方も紹介していますので、身近に自閉症や発達障害の人がいる人は是非最後まで読んで意識を高めておきましょう。
カームダウンエリアの使い方で注意すること
カームダウンエリアの使い方でダメな例は、パニックや癇癪(かんしゃく)になってからカームダウンエリアに連れていくことです。
でも、そのためのカームダウンエリアではないの?
この方法でカームダウンエリアを使っていると、当事者は「パニックや癇癪(かんしゃく)になるとカームダウンエリアに連れていかれる」と思ってしまいます。
これではせっかくのカームダウンエリアが嫌いな場所になってしまいます。
カームダウンエリアは「落ち着ける場所」でないとダメなのです。
特に自閉症や発達障害の人は場所に意味を強く結びつける傾向があるので注意が必要です。
正しいカームダウンエリアの使い方は、1日のなかで落ち着いている時間に何回かに分けて利用し、カームダウンエリアに入ることを習慣化してみましょう。
基本的なカームダウンのやり方を紹介
人によって個人差はありますが、カームダウンの基本的なやり方を紹介しておきます。
大切なのは「カームダウンする場所を決めること」「カームダウンエリアの中でする行動を決めること」の2つです。
カームダウンエリアを分かりやすいスペースにしましょう。
部屋のような個室でなくても簡易的にカームダウンエリアを作ることができます。
例えば、
・色が違うマットを敷いて、境界線をつくる。
・本棚やタンスなど、家具を使って空間を作る。
・段ボールを開いてパーテーションを作る。
・机の下をカームダウンエリアにする。
このように家にあるものを使ったり、比較的安価なものを購入するだけでカームダウンエリアが作れることがあります。
カームダウンエリア内での行動は具体的に決めておきましょう。
ダメなことを決めるより、やっていいことを決めておくのがオススメです。
始まりの時間と終わりの時間を決めておくのも大切です。具体的に「何時何分まで」のように時間を決めるか、タイマーを使いましょう。
時間を決めない場合は、「これをここに全て移動したら終わり」のように「何をどうするまで」と、やっていいことを具体的に決めるのもカームダウンをルーティーンにするよい手段です。
旅行や帰省時のカームダウンのやり方
普段と違うイベントの場合は、事前の準備をしておくことでカームダウンをスムーズにする手助けになります。
以下の3つをやってみましょう。
・予定をきちんと伝えておく
・一緒に準備する
・移動先のカームダウンエリアを確立する
いつどこへ行くのか?一緒に具体的なイメージをしておくことで不安を取り除いてあげましょう。
例えば、カレンダーやスケージュールを一緒に作るのも良いでしょう。
日付の上に家族写真を貼れるようにし、日ごとに移動させていく「すごろく方式」はイメージが具体的になります。
大切なオモチャやタオルなど身近な物をカバンに入れたり、車に乗せる作業を一緒にすることで「自分ごと」として意識できるようになります。
静かで、人や音などの影響が少ない場所があればベストです。
広すぎず壊れる物が少ない場所に、境界線がはっきりするようなマットを敷けばカームダウンエリアになります。
帰省など前もって準備ができる場合は、カームダウンエリアを作っておきテレビ電話や写真で前もって伝えておくのも良い手段です。
到着したらカームダウンエリアで休憩しましょう。
「カームダウンエリアがある」ことを理解してもらうことが大切です。
到着したてで興奮していたり、混乱している場合は短い時間だけ利用して落ち着いている時間に数回使うようにしてみましょう。
電車や飛行機など移動中のカームダウンのやり方は?
電車移動の場合はカームダウンエリアが設置されていません。
多機能トイレや近くの個室ワークブースなどカームダウンができそうな場所を事前にチェックしておきましょう。
飛行機で移動する場合は、カームダウンスペースが設置されつつあります。
とはいえ、まだ確立されていないのでカームダウンスペースがない空港も多いです。
空港にあるカームダウンスペースについては以下の記事を参考にしてください。
カームダウンエリアで過ごすには前提知識が必要
カームダウンエリアさえあればカームダウンができる訳ではありません。
カームダウンエリアを使うにも、きちんとしたやり方を知らないと意味がありません。
この記事で紹介してきたことをおさらいしましょう。
・カームダウンエリアの使い方で注意すること
・基本的なカームダウンのやり方
・旅行や帰省など移動する時のカームダウンのやり方
・電車や飛行機など移動中のカームダウンのやり方は?
カームダウンは習慣です。パニックや癇癪(かんしゃく)になってから使う場所ではありません。
また、カームダウンする場所・カームダウンエリアの中でおこなう行動を決めておくことも重要です。
旅行など日常と違う行動をする場合は、当事者意識をもつように一緒に準備をしましょう。
公共施設にあるカームダウンスペースの場所も把握しておくと、少しは便利かもしれません。
まだカームダウンについての認知度が低いので苦労することも多いと思いますが、できることをやって