国内ではまだ普及が少ないカームダウンスペースですが、空港内にはカームダウンスペースが設置されていることが多くなってきました。
とはいえ、成田空港も広いので、いざの時にカームダウンスペースを探すのは大変です。
国内ではカームダウン自体の認知度がまだ低いので、利用する側が事前に成田空港の施設マップや、施設の対応を把握しておいた方がスムーズです。
なのでこの記事でカームダウンスペースの設置場所を確認して事前に動線を考えておきましょう。
この記事では、以下の内容を解説していきます。
成田空港内のカームダウンスペース設置場所は
成田空港のカームダウンスペースの使い心地について
成田空港は国内の公共交通機関で初めてカームダウンスペースを導入
成田空港は空港スタッフへの教育研修もしっかり
成田空港は世界トップクラスのユニバーサルデザイン水準を目指している
海外ではスタンダードなセンサリールームとは?
この記事を読み終えると、成田空港のカームダウンスペースの設置場所はもちろんですが、成田空港のバリアフリーへの取り組み姿勢も分かります。
海外で主流のセンサリールームについても、紹介していますので参考にしてくださいね。
カームダウンスペースについては以下の記事を参考にしてください。
成田空港内のカームダウンスペース設置場所は
成田空港には3つのターミナルがあります。
第1ターミナルの最寄り駅は「成田空港駅」で、ANAやエアージャパン、ユナイテッド航空、エア・カナダ、エアソウルなどが発着します。
第2ターミナルの最寄り駅は「空港第2ビル駅」で、アメリカン航空や、日本航空、カタール航空、チャイナエアラインなどが発着します。
第3ターミナルの最寄り駅は「空港第2ビル駅」で、LCC航空会社専用のターミナルとして2015年4月にオープンしました。
この3つのターミナルすべてにカームダウンスペースがありますので紹介していきます。
成田空港の第1ターミナルは国内線と国際線ともに手続き後の立ち寄れるようにカームダウンスペースが設置してあります。
国内線2F(出発手続き後エリア)に個室型のカームダウンスペースがあり、中には椅子が2脚設置してあります。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
国際線2F(出国手続き後エリア)にも個室型のカームダウンスペースがあり、中には椅子が2脚設置してあります。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
第2ターミナルも国内線・国際線ともに手続き後に立ち寄れる位置にカームダウンスペースがあります。
国内線2Fに個室タイプがあり、中には椅子が2脚設置してあります。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
国際線2Fも個室タイプで、中には椅子が2脚あります。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
第3ターミナルは、本館の2Fと国内線・国際線の3Fにカームダウンスペースがあります。
本館2F(出発手続き前エリア)には2カ所あり、前室にはソファが1台、個室2室には椅子が2脚づつあります。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
第3ターミナルの国内線3F(出発手続き後エリア)には個室タイプで椅子が2脚あります。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
第3ターミナル国際線3F(出国手続き後エリア)にも個室タイプで椅子が2脚です。
引用:成田空港ユニバーサルデザインサービス施設より
成田空港のカームダウンスペースの使い心地について
実際に成田空港のカームダウンスペースを利用したSDI推進室の所長である加藤さんは以下のように語っていました。
カームダウンボックスに実際に入ったのは今回の成田国際空港さんのカームダウンボックスがはじめてでした。
第3ターミナルの国内線にあるカームダウンボックスは、手荷物検査から搭乗口の動線からは外れた場所にあります。階段下ということもあり、この場所に気づける人は残念ながらいないでしょう。あらかじめ、成田空港にカームダウンボックスが設置されている情報を持っていないとなかなかアクセスできません。その社会認知はこれからの課題だと思います。人通りのない場所にありますので、利用する人の精神的な安全性は確保できるのではと思いました。
第3ターミナルの国際線は、待合室の子ども向け広場の真横という場所です。お子様のご利用には良いなと思いますが、子どもの騒ぐ声が苦手な聴覚過敏の方には落ち着けない場所になるかもしれません。設置場所は一長一短です。
カームダウンボックスの認知が低いなかで、一般の人には「よくわからないもの」として風景になってしまったり、「よくわからないけど近づいてはいけないもの」のように距離を置きたい存在になってしまう可能性もあるなと現地を見て感じました。
どこにどのような形状でどのような伝え方で、カームダウンボックスを存在させるかは正解はありませんが、もう少し日本社会の中では実証実験が必要な段階に感じます。
引用:SDI推進室「成田空港のケーススタディ」より抜粋
まだ新しい取り組みのため、問題点は多いようですね。
カームダウンスペースやカームダウン自体が一般的に浸透するには時間が掛かりそうですが、大切なのは一歩目を踏み出すこと。
成田空港をはじめとする空港施設は取り組みを開始していますので、問題点を改善し続けることが重要ですね。
成田空港は国内の公共交通機関で初めてカームダウンスペースを導入
成田空港がカームダウンスペースを設置したのは、ANA(全日本空輸)と共同で企画した発達障害の特性のある方や知的、精神障害の方に対する搭乗体験がきっかけです。
この時に国内の公共交通機関で初めてカームダウンスペースの設置をおこなっています。
バリアフリー設備の増設や改築は本来、利用者が顕在化されてから動き始めます。
ですが成田空港は、まだカームダウンという言葉すら日本では知られていない2017年頃から取り組みを開始し実際にカームダウンスペースの設置もおこなっています。
もちろん2020年の東京オリンピックへの取り組みの一つだったとは思いますが、日本の玄関口として率先して行動している成田空港はさすがですね。
成田空港は空港スタッフへの教育研修もしっかり
カームダウンスペースがあっても、空港で働くスタッフの理解なくしては機能しません。
成田空港では定期的に空港スタッフへの勉強会をもうけ、利用者の不安や不便を少しでも解消できるように行動できる社員の育成もおこなっています。
カームダウンスペース以外にも、空港を利用する時の手続きなどのプロセスをすごろく風にまとめた「事前予習冊子」や、 援助が必要な利用者に向けて配布されている「ヘルプストラップ」など、研修を受けた空港スタッフの意見をもとには作成されています。
成田空港は世界トップクラスのユニバーサルデザイン水準を目指している
日本の玄関口である成田空港は、世界トップレベルのユニバーサルデザイン水準を目指しています。
2017年には、障害当事者、有識者、空港関係者で構成される「成田空港UD推進委員会」を設立し、当事者参加による現場視察等を踏まえて課題の洗い出しを行う会合を半年間に13回もおこなっています。
そのなかで、テーマの1つに知的・精神・発達障害者への対応を取り上げていることでカームダウンスペースの重要性にいち早く気付き行動しています。
このように具体的なプロセスは、他の空港会社でも共有化できる仕組み作りとの評価を受け、第13回国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰を受賞しています。
参考資料:成田空港株式会社「ユニバーサルデザイン基本計画」を策定
海外ではスタンダードなセンサリールームとは?
センサリールームは、音や光、ニオイなどの五感の刺激が少なくなるように設計されている部屋です。
他にも、オランダ発祥で光や音、匂い、振動、触覚などを感じながら障害を持つ方自身が好きなように過ごすスヌーズレンという習慣があったり。
ニュージーランドやイギリスをはじめ各国に広がりつつあるクワイエットアワーという習慣もあります。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
成田空港のカームダウンスペースを事前に把握してスムーズに利用しよう!
この記事では、以下の内容を紹介してきました。
成田空港内のカームダウンスペース設置場所は
成田空港のカームダウンスペースの使い心地について
成田空港は国内の公共交通機関で初めてカームダウンスペースを導入
成田空港は空港スタッフへの教育研修もしっかり
成田空港は世界トップクラスのユニバーサルデザイン水準を目指している
海外ではスタンダードなセンサリールームとは?
国内の公共交通機関で初めてカームダウンスペースを設置した成田空港ですが、設置場所や環境への課題もまだまだあるようです。
ですが、成田空港が設置をしてから羽田空港や新千歳空港へとカームダウンスペースの必要性が浸透していっているので、すばらしい取り組みだと思います。
今後は利用者からの情報を集めて改善を繰り返し、よりよい環境作りをしていくことでしょう。
せっかく動き出したので、これで終了ではなく継続して改善しつづけていって欲しいと思います。
そして、交通機関以外にも広がっていくことを願っています。